海外就職者インタビュー HEAR WORKING EXPERIENCE
松方"マリオ"雄一郎さん Yuichiro Mario Matsukata
3歳までアメリカで育つ。アメリカ国籍保持者。現在、CPSやCITLSといった米国資格取得プログラムを運営するMatrix Learningで 米国責任者として勤務。
マリオさんがアメリカに来られるきっかけを教えてください。
生まれてから3年間はアメリカに滞在していたこともあり、二重国籍所有者という立場から、常に自分はアメリカでも日本でも自分の意志で生活基盤を作れる権利があると小学校高学年から思っていました。私立の小学校だったこともあり、 英語教育が小学校3年生からあり、そのころから、自分はアメリカ人でも有るからには英語もしゃべりたいと思っていました。中学の時に実家にアメリカ人が年に一度ホームスティを受け入れるようになり、アメリカの文化を学んだり、英語と いう外国語でのコミュニケーションを取るのが楽しくなっていったのを覚えています。また、英語は一番好きな教科でもあったため、英語が好きという事が将来やりたいことの一部となって海外生活ということに自然と目標が定まったと思います。
結果、高校を卒業後、すぐに米国大学留学をするために渡米をしました。当時は恥ずかしながら、TOEFLは350点でした。その後、アメリカ人の級友をたくさん作り、米国大学を卒業、卒業後は日本に3年戻って日本の企業に就職をしたりしましたが、日本帰国5年目にして再び、アメリカ現地採用が決定し、渡米しました。
アメリカでお生まれになったんですね?アメリカでの生活は3歳までという事ですが、再渡米の際には、アメリカでの 生活に不安はありませんでしたか?
性格的に何とかなるはずという前向きな気持ちだけで、心配事は有りませんでした。どんなことがあっても乗り越えられるだけの対応力もあると確信していました。LAに近いオレンジカウンティーでの就職ということで、LA辺りなら犯罪多発地域で危険では ないかと思いましたが、ここオレンジカウンティー、アーバイン市は犯罪とは全く縁がない町だと後で知り、余計な心配だったことに気づきました。
アメリカの就職活動について教えてください。
アメリカ現地での就職の話を頂いた理由に、自分が二重国籍所持者の為、アメリカでいつでも合法に働けるという、雇用主がビザの負担がないのが企業にとってのメリットだったと思います。採用された次の月にはパスポートとスー ツケース一つだけ持って就業のために渡米しました。
とにかく、アメリカに転勤させてくれそうな、海外事業部などの募集をよく探して、問い合わせをしていました。結果的には自分がアメリカ大学在学当時にお世話になった留学機関の方から、アメリカ現地勤務の声を掛け いただきました。そういう意味では、自分のコネ、ネットワーク内に居た人から、アメリカ就職のチャンスを頂いたと思います。いまは、渡米後のきっかけとなった現地企業からは転職し、別の企業で働いています。
現在の会社に決めたポイントは何でしょうか?
とにかく、給料などよりも留学生と携わる仕事が好きという面です。現在の会社も自分がキャリアを築いてきた留学関係のお仕事でハシゴをしていて、仕事内容には満足しています。 また、自宅から車で10分弱という通勤環境も大変気に入っています。
現在、現地の日系の会社で働いていますが、基本的に仕事をしている時間は朝9時から夜6時までです。給料は年俸+出来高でもらっているため、 残業代、有給休暇などは有りません。また、ベンチャー企業ですので、福利厚生も今のところはありません。保険等すべて自己負担です。週休は2日。福利厚生はサポートがないため、夜遅くまで仕事をしたり、土日に出勤した りすることはありません。ただ、やらなかった分はすぐに成績に響いて、出来高部分の収入減に繋がってしまうシビアなところがあります。
マリオさんの個人的意見で構わないのですが、アメリカの就職事情を教えてください。
ビザの面も含めて、日本人がアメリカで働くということは非常に難しいと思います。そんな中でも、アメリカで働ける人は、人を引きつけるパッションがあること、アメリカ人以上の特別スキルや手に職を持っている人 (コンピュータープログラミング、アートデザイン系、CADなど)で有れば、採用チャンスは更に広がると思います。米系につとめるので有れば、英語がそれほどできなくても、上記特別スキルがあればチャンスはあります。 人並みのクオリフィケーションで、英語力もさほど無いという人には米系企業での就職はまず無いと思います。
あとは、自分で就職活動をするのであれば、とにかく、コネ、ネットワークを常に築くこと。それから、自分の携わりたい業界の情報収集ができる機会や、イベントなどには必ず参加して新しい人に会うことです。単にたくさ んの人にその場で話をするのではなく、メールアドレスや携帯番号など、連絡先を聞いて、会った後も必ずKeep in Touchをしておくこと。毎月連絡しておくキーパーソンもいると思いますし、人によっては年に一度クリスマス カードを送るだけの人もいると思いますが、とにかく、一度築いたネットワークをとぎれることなく、確保することが就職チャンスに大きく影響してくると思います。
なるほど、個人のネットワークが大事になるのですね。就職するためのコツはあるんでしょうか?
上記以外になりますが、会社選びで一番注意することは、雇用体系です。外国人(日本人)ということをどうしても負い目に感じすぎて、安月給労働者になってしまいやすい傾向があります。そのためにも、国際資格のようなスキルで レジメを武装して、自分のパフォーマンスに相応する給料を出してくれる企業を選ぶといいと思います。求人媒体は、日系フリーペーパー、Monster.com、現地地元新聞等がありますが、先から述べているように、一番の近道はコネを造っ てそのコネ関係の紹介で就職することです。また、アメリカにある企業の面接は、その人がどんな向上心やスキルを持っているのか以外にも、「この人と一緒に働きたいか?」というところを見られていると感じます。面接で多彩なコミュ ニケーションスキルを相手に伝え、第一印象を良くできる人、人に好感を与える人で有れば、採用率はものすごく上がると思います。
また、1社員として、そのポジションにおいて最大のパフォーマンスを出すスキルが必要なのは当然ですが、それ以外に、コミュニケーションスキルが大切だと思います。それと自分のパフォーマンスを常に数字に置き換えてきちんと会社 の利益に貢献しているか考えることです。
では、海外就職を目指す方にアドバイスをお願いします。
まず、語学をネイティブレベルまで上げること。最低でもTOEIC800点以上は必須です。それから、いろいろなコミュニケーション能力がない人はアメリカの会社で生きていけません。
また、人にはまねができないスキルを身につけること。もちろん、それが仕事に関係することで有ればベストですが、正確さ、几帳面さ、仕事処理能力、リーダーシップ等々、あなたでなくてはできない、特別なスキルを早くたくさん身に つけることです。先にも書きましたが、そのスキルの内容によっては、語学やコミュニケーション能力は二の次でもいい場合が多々あります。