海外社長インタビュー INTERVIEW WITH PRESIDENT
AMERICAN STAR CORPORATION
オーナー 坂下 澄子さん
日本の銀行に勤務後、結婚を機に渡米。サンフランシスコ・ベイエリアにて観光客を対象としたギフトショップで20年以上勤務するが2001.9.11アメリカ同時多発テロの影響で客数が激減と同時に閉店。しかし、そこをビジネスチャンスと捉え長年接客として勤務したキャリアを生かし、フランス語で健康を意味するSan Saineマッサージ店をオープン。創業当初は、お店を知ってもらうことに苦労したが、坂下澄子オリジナルのリフレクソロジーメニューが現地の新聞に掲載された事をきっかけに日本人客だけでなく、ローカルのお客様にも愛されるサロンとなる。
マッサージサロンを始めようと思われたきっかけを教えてください。
私は若い頃から極度の肩こり症でして、時間があるとよくマッサージサロンに行っていました。日米ではマッサージの種類に違いがあり、アメリカはオイルマッサージが主流でお店に入ると着替えが用意されていたり、ちょっと堅苦しくて初めての人だと気軽に入れる雰囲気ではありませんでした。日本はというと今は変わってきましたが指圧が主流で、マッサージ師によっては痛いと感じることすらありました。その頃から1人のお客さんとして「日米の良い部分を合わせたサービスを受けたいな」と思っていたのです。9.11テロの後、長年勤めたお店が閉店となり絶望的だった頃、日本へ一時帰国しマッサージへ行きました。そこで、ある方とお話をしていましたら、その方が「アメリカに行きたいな」と言われ、私はアメリカで長年生活しておりましたし、ちょうど運良くサプメントを販売している知り合いから物件が空いているという連絡を頂いて、タイミングも重なり、「これはやるしかない！」と思い開店に踏み切りました。
お店のコンセプトを伺えますか？
SanSaineはサービス業の中でのマッサージサロンという観念としてやっております。どういうことかと言いますと、例えば30分ボディ、30分足裏と決まっているメニューの中でもお客様個人によってマッサージを受けたい場所は異なります。このような場合、San Saineでは、お客様からリクエストされる前に、施術前、施術中の会話の中でその方のその時にあった方法で施術をすることに努めております。ただ決められた方法でサービスを提供するだけではなく、気持ちを介してマッサージをすることを一番に心がけています。おかげ様で今ではリピーターのお客様の間ではその方用のオリジナルメニューもあるくらいです。
癒しの空間として気をつけてらっしゃることはありますか？
清潔感ですね！何処のお店でも外観や内装が汚れていると入る意欲が薄れてしまいますよね？当サロンはどなたでも気軽に入り易いように外から見えるガラス張りの入り口で店内も癒しのカラーで統一しております。ターゲットを30代、40代の働く女性の方々としておりますが、実は男性のお客様からも好評を頂いており、今では全体の４割ほどが男性客です。場所柄、男性も女性も働かれているお客様がほとんどですので、お待たせすることなく時間通りにサービスを提供する事も心がけています。
地元の新聞にお店が掲載されたとききましたが・・？
そうなんです！あるお客様が偶然にもローカル紙のコラムを書かれている方で記事にして下さったんです。記事を見たローカルのお客様が来店され、マッサージを受けた後にはインターネット上のYelpというサイトで紹介して下さるなど、何とも嬉しい周期（サイクル）ができているんです。新規のお客様は今ほぼ※ Yelpからといっていいほど絶大な効果がありますね。インターネットで何でも検索できる時代に変化していますので、ラッキーでしたね！広告料も無料でしたし（笑） ※Yelpとは第３者がそのお店の評価を書き込む掲示板のようなサイトです。
お店は休みなしの７日間営業ですが、大丈夫ですか？
私にとっては、働くことが生活の大部分を占めておりますので、お客様から「ありがとう、とっても気持ちが良かった」とお褒めの言葉を頂けることで、溜まっていたはずの疲れも吹っ飛んでしまうのです。不況と言われている時代ですが、お蔭様でお店は毎日忙しくしておりますので、「お客様に見合ったサービスを提供できているんだ」とオーナーの立場として誇りにしております。
今後の希望をお聞かせて下さい。
色々と挑戦したい事はあるのですが、まずはマッサージのメニューとしてヘッドマッサージやリフトアップを追加したいと考えています。遠方からわざわざ当サロンに足を運んで頂くお客様も大勢いらっしゃいますので、未定ではありますがタイミングが合えば店舗を増やしていく事も考えています。その他としましては、スクール経営も視野に入れています。
スクールですか？
過信するのはよくない事ですが、当サロンのマッサージスタイルは真似のできないオリジナル商品ですので、私はSanSaineの技術がどこに行っても評価されると信じています。サービスを提供する上で日本とアメリカの観念が違いますので、今まで経験をお持ちのマッサージ師を指導するのは簡単な事ではありません。正直、挫折する方もいらっしゃいました。しかし、マッサージ師という技術者を育成することによりきっと大きなチャンスが待っていると信じています。なぜなら現代は誰もがコンピューターを使う時代に変化しておりますので、体の懲りは必然的にツキモノになっているからです。
最後にお聞きしたいのですが、坂下さんにとってずばり『アメリカで働く』とは何ですか？
日本ではサービス業において常にお客様が上の立場であることが前提ですが、アメリカではお客様と対等です。とてもシビアな聞こえになりますが、やればやるだけ見返りもあります。逆に言えばそれなりのサービスを提供してしまうと、それなりの評価しか頂けません。男尊女卑の概念も全く無し、"女性だから"、" 若いから"、という理由もアメリカでは通用しません。それ故に私のような全く知識がない初心者でもビジネスをスタートできたのだと思っています。これから何かを挑戦されようとお考えの方は是非チャンスだと思い、一歩を踏み出して頂きたいと思います。私は当サロンのスタッフの成長が何よりも嬉しいので「キャリアアップをしたい」、「新しいお店を出したい」、という相談を受けた際には全力でサポートしてあげたいと思っています。
マッサージもプロですが人生相談に来られるお客様も多いそうで、落ち着いた人柄でとっても気さくな坂下さん。短いインタビューの時間でしたが、人として女性としての魅力を感じました。愛犬チャッピーのお話をされる姿は生き生きとしていて可愛らしい雰囲気でした。坂下さんがおっしゃるように「アメリカで働きたい」、「チャレンジしたい」という方はその気持ちを大切に、そしてチャンスだと思い、ぜひその一歩を踏み出してみてほしいと改めて感じました。
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