海外社長インタビュー 通訳関係 法廷通訳/UCLA日本語教師 一色 桂子さん

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海外社長インタビュー INTERVIEW WITH PRESIDENT

一色桂子

法廷通訳/UCLA日本語教師 一色 桂子さん

日本の大学を卒業後、高校英語教師となる。3年の教師生活を経てLAに留学を決意。UCLAの大学院にて英語教授法を2年間学ぶ。自身のネットワークや人脈から、現在は法廷通訳者また、UCLA日本語教師としてのキャリアを重ねる。

"人生は一度だけ!"5年後、10年後、15年後・・・ なりたい自分に向かって生きる"人生設計"が大切。チャンスを探し、訪れたチャンスは必ずつかむ!

アメリカに来られたきっかけを教えて下さい。

奈良女子大学を卒業後、大阪の高校で英語教師をしておりましたが、以前から英国か米国に留学し、実際に英語圏の人々の生活や文化を肌で感じたいと思うようになりました。英語を教えているプロとして、自分自身がその経験をする必要があると思っていたのです。当時、教師をしながら英会話学校にも通っておりまして、ある日、そこの講師が留学の話を紹介してくれたのです。彼の親戚にロサンゼルスで下宿をさせてくれる方がいるということで、これは留学のチャンスだと考えまして、3年間の教師生活にピリオドを打ちました。当時1967年ですから留学は本当に珍しかったのですが、迷いなく決めました。

現在のお仕事(日本語講師)に就かれたきっかけを教えてください。

渡米後はUCLAの大学院にて英語教授法を2年間学び、教員免許を取得しました。実は父には留学を猛反対されまして、2年間の留学の約束で渡米したんですが、アメリカでの生活が大変心地よくなってしまって(笑)、1年半の研修期間を使ってアメリカ滞在を延長したのです。その研修期間が始まってすぐに、UCLAの学部長のところへアポイントメントなしで飛び込んで、日本語クラスの講師としての空きがないかを聞きに行きました。日本の高校で英語教師をしていましたので、"教えること"自体は英語でも日本語でも同じだ、日本語を教えることはできないだろうか?と考えたのです。学部長には、自分は日本で英語を教えていた経験があること、UCLAで英語教授法を学び、免許を取得したことなどを説明しました。

すると、アポイントメントなしで突然押しかけて行った私に、「ちょうど日本語講師の空きがあるからエクステンションクラスの講師をやらないか。」と言われましてね。正直、大変驚きましたけれど、こんなチャンスはなかなかない!と思い、即決しました。"チャンスが来たらつかみとる!悩んだり考えたりしているヒマはないんです。チャンスは必ずつかむ!"これが重要ですね。

法廷通訳になられたきっかけは何でしたか?

UCLAの日本語クラスは社会人向けでして、弁護士や会計士など、様々な分野の専門家がたくさんいらっしゃいました。次第にクラスの生徒さんから通訳や翻訳の依頼が来るようになりました。「アメリカで日本語を教えているのだから英語もできるだろう」と思われたのでしょうね。幸運なことに私の場合、自分のネットワークの中からこういったお仕事の機会をいただくことができました。"一つが何かにつながり、それがまた何かにつながる。"自分が何をしたいのか、しっかりと自分の中に一つの芯を持っていれば必ずつながるんですね。

法廷通訳になられたきっかけ

通訳士として、(語学の面なども含めて)どのような努力をされてきたのでしょうか?

日本で英語教師をしていましたので、英文法の基礎はありました。アメリカでは会話力を磨く程度と思って渡米しましたが、初めはネイティブ英語の速さについていくのが大変で、大学時代は何度もめげそうになりました。それでも一大決心をして渡米したわけですから、辛くてもやるしかなかったのですよね。本当に毎日必死でしたよ。でもその2年間の大学院生活の苦労のおかげで、だいぶ自信がつきました。

裁判用語については独学で身につけました。通訳は言葉を使う仕事ですから、"訴訟のことは分からないけれど、言葉さえ正しく伝えられれば大丈夫だ!"と思って法廷通訳の仕事をスタートしたんです。裁判をする企業はどちらも本気ですから、専門用語の知識はもちろんですが、日本語も英語もきちんとできなくてはならない。私の訳し方や言葉の選択一つで勝負が決まってしまうわけですから、緊迫した裁判所での通訳は、とにかく集中することが大切ですね。言葉の重みも実感しています。この点に関しては、日本語講師の仕事が役に立っていたかもしれませんね。裁判の仕事の時には事前に必要な情報をもらい、全ての資料にきっちり目を通し、必要なことは全て調べます。それから、裁判で必要な単語リストも作成します。何よりも"正しく伝える"ことが重要ですから。プラス、人間性も問われると思います。

学生結婚の末、出産や離婚を経験されて女手一つで子育てをしながらキャリアウーマンとして働かれてきた一色さんですが、子育てと日本語講師・法廷通訳のお仕事をどのように両立されてこられたのでしょうか?

こちらもまた幸いなことに、昼間は裁判の(通訳・翻訳の)仕事、夜は日本語講師の仕事というように、うまく時間が分かれていたのです。だから両立できたのですよ。ただ、自分の息子が乳飲み子だった頃、ベビーシッターがどうしても見つからなかった時には、息子を片腕に抱えて教壇に立ったこともありました。これはアメリカだったからできたことかもしれませんね。子供がいてもやらなくてはならないことがあり、どうしても!という時に母親は強いのです。渡米に賛成してくれた母の教えでもあるのですが、「女性でも手に職をつけて何が何でも一人でやっていける力をつけておく!」この言葉が私の支えでもありました。

日本とアメリカで違う点は

私生活での楽しみや趣味は何をされていますか?

10年位前でしょうか、息子が自立して自分の時間が増えた頃、以前から ずっとやりたいと思っていた運動を始めることにしました。どうせやるなら"何か特殊なものを"と思い、カウボーイダンスから始め、次にいわゆる社交ダンス(ballroom dance)に飛びつきましたが、3年程して、床をただ水平にだけ踊っているのが物足らなくなって来たころ、アクロバットを取り入れたtheater artsというダンスがあることを知り、これも面白そうと思い、始めることにしました。訴訟の仕事はとても緊張しますし、ストレスがものすごいんですよ。ストレスの多い仕事を20〜30年続けて来て、如何に自分の身体的・精神的健康が大切かということに気が付きまして、美しい音楽に合わせて楽しく体を動かすことでバランスを取っています。最近では、ようやく時間に余裕が出てきましたので、週に5日はスタジオで練習し、週末はダンスパーティーに参加して、自分の時間を楽しんでいます。

今後はどのような展望をお持ちでしょうか?

仕事は100%の力でやってきましたし、子供も産んで育て、女性としての役割も果たしましたので、第二の人生を歩める時期が来たと思っています。最近は今まで以上にダンス活動に力を入れています。チームを作ってボランティアとして老人施設、学校などを訪問し、月に一度くらいのペースでパフォーマンスをしているんですよ。パフォーマンスは大変好評で、「毎週来て欲しい。」「ダンスを教えに来て欲しい。」などの声をたくさんいただいているので、今後はダンスを教えるといった活動も考えています。今までは自分の成長のためにいろいろとやってきましたが、これからはアメリカ社会に何かお返しをしたいと思っています。若いときは趣味に没頭できなくてもいいと思います。趣味を見つけておくだけでいいのです。引退後、仕事から好きなことや趣味にスムーズに転換することが大切なのです。仕事を辞める前に自分がこれからやっていきたいことを見つけておくことが大切だと思います。

これからアメリカで働きたいと思っている人たちにエールをお願いします!

自分が何であるか、そして何がしたいのかを見つけることが大切です。常にそのことを念頭に置き、それを実現させるチャンスを自分で探すんです。そして、そのチャンスが訪れるまで待ち続け、訪れたときにはつかみ取る。そのためにも、何をしたいか分からない状態ではダメですよ。何をつかまえていいのか分からないと、チャンスが訪れてもそれをつかめませんからね。もしもチャンスがないのならば、苦労する覚悟で誰かのところに自分から飛び込むのです!とは言っても、無理をしてはダメですよ。 "人生は一度だけ。"もちろん、その年代ごとにやらなくてはならないことがありますから、その時の自分の環境に合ったことを最大限にやることが大切だと思います。どんな時でも自分が何をやりたいのかを見失わずに、そのチャンスがくるまで待つのです。なりたい自分が常に自分の中にあれば決してブレません!

"決断力・行動力・人脈力"この3つの力が一色さんを表現させていただくために不可欠であるという印象を受けました。"人生は一度だけ!"自分の軸は動かすことなく、ブレることなく、目標に向かってチャンスを探し続け、何が何でもつかみ取る!人生は出会いであり、自分の行動次第で花が咲く。"飛び込む"精神を持って今まで以上に行動して行こう!と心に誓った日となりました。数々の貴重なお話をありがとうございました。

(Interviewer 田島 麻美)

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